お父さんが買ってくれた大切な…

夏祭りに浴衣を着ていく機会が減りましたが、私にはお気に入りの浴衣があります。お父さんが買ってくれた、大切な浴衣です。

私は三人姉妹の末っ子なのですが、そうなると服はお姉ちゃんのお下がりばかりでした。私は特に気にすることはなく、浴衣もお姉ちゃんの浴衣を借りて着ていました。紺色の紫陽花柄の浴衣です。お姉ちゃんが結婚して紺色の浴衣は私が貰いました。その当事は浴衣が着られれば何でも良かったのです。お母さんのお古の浴衣を着たこともありました。

しかしお父さんはずっと気がかりだったようです。毎年、夏になると「お前にも浴衣を買ってやらないとな。」と言っていました。お父さんは娘には全員、浴衣を買ってやりたいという気持ちがあったようです。私は毎年お祭りに行く訳でもなかったので買って貰わないで構わないと思って数年が過ぎていました。

ダイエットに成功したある夏に、お父さんが遂に浴衣を買ってくれることになりました。お母さんと三人で浴衣を選びに行ったのですが、お父さんがニコニコと嬉しそうにしていました。私はお母さんが勧める黒や紺色の浴衣より、黄色の浴衣を選びました。最初から黄色の浴衣が欲しかったのです。お父さんは「本人が欲しがる色にしよう。」と、私が欲しがった浴衣を買ってくれました。

淡い黄色の生地に紫陽花柄の浴衣です。その年のお祭りに着て行きました。周りの友達からは、黄色の浴衣が似合ってるね、と言われてとても嬉しかったです。お父さんが買ってくれた浴衣が自慢でした。そして浴衣を着た私を見て、お父さんが誰よりも嬉しそうでした。

それ以来、毎年その浴衣を着ました。お祭りデートでも着ていって、彼氏に似合ってるねと言われた時は本当に嬉しかったです。

現在は結婚して着る機会が減りましたが、大切な浴衣です。お嫁に来る際に忘れずに持ってきました。浴衣を見ると、お父さんの嬉しそうな顔を思い出します。お父さんとの大切な想い出の浴衣を、今年は着たいなと思います。