和をきれいに着こなせる女の子は、幸せ

浴衣はカジュアルな、どちらかというと「部屋着」に近い和装です。
とはいえ、現代では「浴衣は夏の勝負服」でもあり「女子力」のひとつなのかもしれません。
花火大会やお祭りで、浴衣デートをするには、それなりのスキルが必要です。
浴衣や小物をそろえても、着こなせなかったらタンスの肥やし。たとえ、着付けをしてもらっても、スマートに歩けなかったり、着崩れの対応が出来なかったら「疲れた」記憶だけしか残らないかもしれません。
ホテル街に「浴衣着付け○○○○円」という貼り紙をみかけると
「ああ、夏だな」と思うようになりました。

私は、母に浴衣の着方を教わりました。
おはしょりをつくって、文庫結びをして、汗だくになりながら何度もやり直しをして筋肉痛になったのを思い出します。
今でも、浴衣で出かける時は事前に準備をしてそれなりに練習をしないと、着こなせません。
それでも、夏になると浴衣を出して、特別な予定も無いのに準備をするのは
いつもの自分と違う自分になれるから
「きれいだよ」と言ってもらえた時の喜びをしっているから。

子供の頃、私は祖母が手縫いしてくれた浴衣を着ていました。
帯は母が娘時代に使っていた、赤い絹の兵児帯でした。
周りの友達が、既製品の浴衣や化学繊維の帯を身につけていたのをとても羨ましく思っていました。
「あの、蛍光色の帯が欲しい」と本気で思っていました。

幼心はときには残酷なもの。
祖母と母の、極上の愛をうけていながら贅沢な悩みです。
子供時代、浴衣を着て出かけられたのは盆踊りの時だけでした。一年のうち、ほんの数日だけでした。
神社から、太鼓の音が聞こえてくると、母に浴衣を着せて欲しいとよくせがみました。
「まだ早いから」と聞き流して、家事をしている母の後姿。
歳の離れた弟がいたので、私だけを見てくれる時間はそんなにあるわけではなかったので、帯を結んでもらっているつかの間の時間がとてもくすぐったかったのを覚えています。

最近の浴衣は、ワンタッチ帯がセットになっていたり至れり尽くせりですが、本当に可愛く着こなすには「ほんの少しの工夫」と「愛情」が必要。
子供の頃、浴衣姿を「あら可愛い」と目を細めてくれた家族や、周りの大人たちの眼差しが愛されるたの自信につながっている。そう思えてならないのです。

帯をほどく恋人よりも、帯を結んでくれた母親の愛を強く感じるのは、少しは大人になったからでしょうか?